3 ピアノが弾けるようになるレッスンとピアノが上手になるレッスン
楽譜通りに弾けたとしても、必ずしも『ピアノが上手である』とは限らず、おいしい味付けができるようになってこそ『ピアノが上手である』ということになるわけですが、多くのレッスンでは、楽譜通りに弾けるようになったらそこで完結し、そこから次の曲へ進むばかりで、この味付けという部分に触れられることはほとんどありません。
これは、カレーの作り方を習うということに例えるならば、出来上がったカレーが、とても食べることができるような代物ではなかったとしても、見た目にはカレーを作ることに成功したわけだから、これであなたはカレーを作ることができるようになりました、と言っていることと同じことになります。
ピアノ教室に長年通っているにもかかわらず、ピアノが思うように上達しないと悩んでいらっしゃる方の大半は、この部分を見落としています。
見た目にはカレーを作ることに成功したわけだから、これであなたはカレーを作ることができるようになりましたとして、そこで終わってしまっては、肝心の味付けの部分がどのようになっているのかわからず、いつまでたっても見た目はカレーだけど中身は・・・?という状態から先へ進むことができません。
見た目はもちろんのこと、味付けまで自分で納得のできるカレーを作ることが出来るようになってこそ、カレーを作ることができるようになったと言うことができるのではないでしょうか。
このように、見た目にはカレーに作ることに成功したわけだから、これであなたはカレーを作ることができるようになりましたとするレッスンを『ピアノが弾けるようになるレッスン』とするならば、味付けまで自分で納得できるレッスンが『ピアノが上手になるレッスン』ということになります。
楽譜通りに弾けるようになることはもちろん大切ですが、それ以上に大切なことは、楽譜通りに弾けるようになった曲に対してどのような味付けをするのかということです。
自作曲の演奏ならともかく、誰もが同じ曲を演奏するクラシックの場合、この味付けによって様々な演奏が生まれます。
楽譜通りに弾けるようになればそれで良いということであれば、スジの良い方の場合、ピアノを習わなくても独学で十分弾けるようになりますし、突き詰めて考えますと、人間がピアノを弾く必要はなくなってしまいます。
全くの初心者を除き、ピアノ教室に通う意義というのは、独学では学びきれない部分を磨くという点にあるのではないでしょうか。