1 ピアノの落とし穴

ヴァイオリンなどの弦楽器や、クラリネットなどの木管楽器、トランペットなどの金管楽器のように、楽器から楽音としての正確な音程を持った音(ドならドに聴こえるような音。これと正反対なのがドラえもんに出てくるジャイアンの歌。)を出すことができるようになるまでに時間がかかる楽器と違い、ピアノは鍵盤が下がりさえすれば、簡単に楽音としての正確な音程を持った音が鳴る楽器です。

猫が鍵盤の上を歩いても、上から少々重さのあるものを落としただけでも、ドの場所なら正確な音程を持ったドの音が鳴ります。

ですから、ピアノという楽器は、たとえピアノを習ったことがない人であっても、誰にでもすぐに楽音としての正確な音を出すことができる楽器であり、それゆえにすぐに音楽を楽しむことができる楽器ということになります。

この点が、音楽を楽しむことができる段階に至るまでに時間がかかる他の楽器に比べて、ピアノが広く普及した理由の一つではないかと思います。

ところが、ここにピアノという楽器の大きな落とし穴があります。

弦楽器や管楽器は、最初に音の出し方をしっかり身に着けないと、音楽を楽しむことができる段階での演奏をすることができないために、習い始めた段階で、音の出し方に関しては十分な訓練が行われます。

さらに、あらかじめ楽音としての正確な音程を持った音が用意されているピアノと異なり、これらの楽器では楽音としての正確な音程を持った音を、演奏者が自分自身で作り上げないことには、ジャイアンの歌になりかねない可能性があるために、演奏者は常に自分が出している音に対して注意を払い続ける必要があります。

それに対して、ピアノにはあらかじめ楽音としての正確な音程を持った音が用意されているため、音の出し方に対する十分な訓練が行われなくても、演奏をすることが可能な上、弾く鍵盤さえ間違えなければジャイアンの歌になる可能性はありません。

ピアノもまた音楽のための手段である以上、他の楽器と同じように、自分が出している音に対して十分な注意が払われる必要がありますが、ピアノの場合は、自分が出している音が楽譜に記された音高(ドならド、レならレ)通りの音かどうかという点での注意のみ、つまりピアノを弾くというよりは、いかに鍵盤を正確に弾くかということに対する注意ばかりになってしまい、肝心の音楽に対する注意がおろそかになってしまいがちです。

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楽しいピアノ教室と上達するピアノ教室の違い

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